投資の世界でちょこちょこ耳にする「織り込み済み」という言葉。実は、この織り込み済みが、少々厄介で、ファンダメンタルズ分析を難しくしている要因とも言えるのですが、非常に大切ですので、ここで必ず押さえておきましょう。

織り込み済みとは

織り込み済みとは、事前に予測されている好材料や悪材料が、既に相場に反映されている状態のことを言います。

例えば、重要な経済指標において、ネガティブな結果が予想されている場合、経済指標の発表前から、予測されているマイナス要因を反映したような値動きを見せることがあります。指標の発表前であるにもかかわらず、市場が先回りして、為替レートを動かしてしまっているような状態です。このような状態のことを織り込み済みと言います。

織り込み済みとなっている相場においては、予想が現実となっても、その事実が発表された段階では、何事もないように静かなものになったりします。予想の時点で、既に価格に反映されているからです。

このような状況は、相場の世界では、よく見られることです。何の事実もないのに、なぜか値が動いているという場合は、予想や噂に目を向けてみると、値動きの理由が見えてくるかもしれませんよ。

材料出尽くしに気を付けよう

織り込み済みとなった相場においては、予測されていた事象が現実になった途端、これまでとは反対の値動きを見せることがあります。経済指標の発表前には、結果予想を織り込むため、活発に値が動いていたものの、指標が発表され、予想通りの結果となったにもかかわらず、これまでのような値動きを見せず、急に反対の方向に値が動くといったようなことが、為替相場の世界では珍しくないのです。

例えば、米雇用統計において、好結果が予想されているような状況では、米ドルにおいて好材料となりますので、その結果予想を織り込むため、米ドルが強くなったとします。ところが、実際に米雇用統計の結果が発表され、予想通りの好結果となった途端、急に反対の値動きを見せ、米ドルが弱くなってしまいました。普通に考えれば、このケースでは、予想通りの好結果となったのですから、米ドルは更に強くなってもおかしくなさそうなのですが、そうはならないのが、相場です。

このようなケースでは、これまで相場を動かしていた材料が出尽くしてしまっため、これ以上相場は動かず、利益確定のための決済が大量に出て、これまでとは反対の値動きを見せたということになります。

噂で買って事実で売る

投資の世界には、「Buy the rumor, sell the fact」という格言があります。日本語訳をすれば、「噂で買って事実で売る」。

織り込み済みと材料出尽くしは、まさにこの関係にあります。経済指標の予測値のような市場の噂が出始めた段階で仕込んで、予想通りの結果が出たら、利確をする。これが、相場の定石です。

経済指標が好結果だったからといっても、その予想が、事前に相場に織り込まれていると、指標発表後に、必ずしも、ポジティブな方向に動くとは限りませんし、その逆も然りです。それは、事実だけではなく、噂が相場を動かしているから。ファンダメンタルズ分析においては、事実だけを見ればいいという訳ではなく、市場の予想や噂にも注目する必要があるということですね。